遺贈とは

遺言書により財産の全部または一部を無償で譲与するものです。
もらう側(受遺者)の意思とは無関係に遺言者の単独行為ですので、贈与契約とは異なり、あげるほうの一方的な遺言によるものです。
15歳以上に達すれば遺言書により、遺贈することができます。
遺贈の効力の発生日は、原則として遺言者の死亡の時です。
遺贈者より先に受遺者が亡くなった場合は遺贈の効力は生じず、受遺者の地位が相続することもありません。
受遺者には相続税が発生し、相続人より割増の相続税がかかります。また相続税基礎控除の対象人数にはカウントされません。
遺贈される場合は、財産を受けられる方(受遺者)に一定の相続税や不動産取得税、登記関係費用等の負担が考えられます。その負担額にもよりますが、預貯金など金融資産の一部も不動産と一緒に分与されるなどの配慮をすると、受遺者の負担も軽くなります。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
包括遺贈とは、具体的でない抽象的な遺贈です。
(例) 自分(遺言者)の全財産の3分の1を遺贈する。
包括受遺者は、実質的には他の相続人と同一の権利義務を負うことになるので、遺言者に借金等のマイナス財産があれば、遺贈の割合に従った債務も引き受けなければなりません。また遺産分割協議にも参加し、相続する財産について話し合いが必要です。
特定遺贈とは、 特定の財産について遺贈すること
(例) ○○市にある建物と土地を遺贈するなど、財産を特定する遺贈。
遺贈の承認・放棄
特定遺贈と包括遺贈では異なります。
特定遺贈の放棄
特定遺贈を受けた受遺者は、放棄・承認までの期間の定めはなく、遺贈を放棄したい場合は、「遺贈を放棄する」旨を相続人に対して伝えることによって行い、特に家庭裁判所などに申し立てる必要はありません。
ただし、受遺者が遺贈を受けるのか放棄するのか分からない場合は、相続人の相続分が確定しないため、相続人は受遺者に対して、「相当な期間を定め、承認するか?放棄するか?」を催促することができ、その催促期間に放棄する旨の意思表示がなければ遺贈を承認したものとみなされることとなっています。
包括遺贈の放棄
包括遺贈の放棄は、遺贈者が亡くなったことを知った日、または、自分に対して包括遺贈があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述をし、この期間内に放棄の申述をしなかった場合は、承認したものとみなされます。
